神奈川登文会

神奈川県登録有形文化財建造物所有者の会

松の杜くげぬま
(尾日向家住宅)

建築年
1928年(昭和3年)
設計者
不明
構造
洋館/木造2階建一部平屋建和館/木造平家建
建築面積
洋館/153.8㎡ 和館/70.26㎡
登録年月
2018年3月
所在地
神奈川県藤沢市鵠沼松が岡1-6-31
公開物件URL
https://www.facebook.com/matsunomorikugenuma/
※イベント予約者に限る

鵠沼松が岡1丁目に位置する尾日向家住宅は、1928年の建築後、複数の所有者を経て実業家の尾日向竹重が居住。洋館と和館がのびやかに配置され、戦前期湘南の中規模別荘建築の様相を伝える邸宅です。

大正から昭和初期にかけて「洋館付きの和風住宅」が多く建てられた時代がありました。尾日向家住宅の場合は、それとは逆に洋館を主たる居住部分とし、和館を接客スペースとして使用。それは関東大震災後ならではの耐震・耐火性能への配慮があったと考えられます。
赤褐色のフランス瓦、寄木張の床、アールデコ意匠の照明器具、ステンドグラスなど随所に優れた意匠が見られる洋館に、琵琶床や付書院を備えた本格的な10畳和室が特徴的な和館。洋館と和館が一体となったゆとりある建築に、客人を迎える事細かなしつらえは、90年を経た現在、より一層味わいを増しているかのようです。

2019年より、貸しスペース「松の杜(もり)くげぬま」として利活用をスタート。ヨガやピラティス、バイオリンレッスン、書道教室、野菜販売、CM・映画のロケ地などさまざまな利用があり、事業による収益は、建物の修繕費と庭の管理費に回すことで、維持保存を図っています。またボランティアによる庭清掃・室内清掃を開催し、地域のコミュニティの場としても生かされています。